膀胱炎市販薬

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膀胱炎の市販薬 : ドラッグストアで変える膀胱炎市販薬とは

公開日
更新日

 
執筆:佐藤 孝弘 (医薬品開発、薬剤師)
 
 
膀胱炎の市販薬 についてご存知ですか?
女性の頻尿の原因と聞いて「細菌性膀胱炎(さいきんせいぼこうえん)」を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
成人女性なら誰でも1度や2度は、この病気を経験しているといってもよいでしょう。
細菌性膀胱炎は、その名前のとおり、細菌に感染して膀胱に炎症が起こる感染症のことです。症状は、残尿感、頻尿、排尿痛、尿の混濁などで、ひどくなると尿に血液がまざることもあります。
 
 

膀胱炎は女性がかかりやすい理由

 
原因になる細菌は尿道から膀胱に入ってきます。男性より女性のほうがかかりやすいのは、尿道が短く、細菌が容易に膀胱にたどり着けるからです。
 
代表的な原因菌としては、大腸菌があげられます。大腸菌ひ便の中にたくさん棲んでいて、肛門と尿道口は位置的に近いため、排便を介して簡単に感染します。
 
ほかに、プロテウス・ミラビリスという菌は主に尿素を栄養源にしているので、われ先にと尿の中に棲み着こうとします。とくに、濃縮された尿を好むため、水分をとらず、膀胱の中の尿量が少ないときにかかりやすくなります。
 
また、膣と尿道口も位置的に近いため、セックスによって膣のあたりにいた細菌が尿道に付着し、感染しやすくなります。
細菌性膀胱炎にかからないためには、たくさん水分をとって尿量を増やし、尿道口に付着した細菌を尿とともに洗い流すことが重要です。セックスのあとに排尿することも、予防になります。
 
 

膀胱炎の対処法

 
水分摂取量が少ないと、尿はどんどん濃縮され、尿量も少なくなり、尿道を洗い流すことができなくなります。健康なら、1日の排尿量は1000~1500ミリリットルで十分ですが、細菌性膀胱炎にかかっているときは、1日2000ミリリットル以上の排尿量が望ましいでしょう。
 
自分の排尿量を知るためには、排尿日誌をつけて、1日の排尿量が適切な量になるまで水分をとるようにします。また、細菌性膀胱炎に繰り返しかかった経験のある人も、日ごろから水分を多めにとり、尿量を増やすように心がけましょう。
 
なお、最近は、洗浄機能付き便座のある家庭も多いです。排便後、肛門の周囲を洗い流して清潔にすることは悪くありませんが、水圧が強いと大腸菌をはね飛ばし、尿道口に付着させてしまうことがあります。
 
大腸菌が尿道から侵入すると細菌性膀胱炎の原因となるため、やさしく洗い流すように心がけてください。
 
 

ドラッグストアで買える「 膀胱炎の市販薬 」について

 
膀胱炎の市販薬は漢方薬が中心で、排尿痛による排尿困難に対して効果を示します。漢方医学でいうところのは水の代謝(尿の生成)や生命エネルギーの貯蔵を担います。
特に以下の3種類の漢方薬が膀胱炎に使用されます。
 

猪苓湯(ちょれいとう)第2類医薬品

体力を考えずに幅広く使用可能です。排尿を促す作用が強く、頻尿、残尿感、排尿痛、血尿などの排尿障害に適します。残尿感や膀胱の炎症が長引く場合に使用します。
 
 

五淋散(ごりんさん)第2類医薬品

体力が弱すぎず強すぎない中間の人の慢性尿路症に適します。五淋散の淋は尿が出渋って、ポタポタしたたるという意味です。尿路の熱や腫れ、痛みを和らげて尿の出を改善する処方です。(「ボーコレン」という名前でも市販されています。)
 
 

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)第2類医薬品

体力があり、尿道炎・膀胱炎で、症状が比較的激しい急性、慢性・炎症に適します。
 
 
以下の薬は排尿障害改善作用があり、必ずしも膀胱炎を伴わない頻尿などの排出障害、蓄尿障害に対して効果を示します。
 

八味地黄丸(はちみじおうがん)第2類医薬品

腸が丈夫で比較的高齢、疲れやすく、手足の冷えがある人に最適です。軽度な前立腺肥大に伴う頻尿、夜間頻尿、過活動膀胱、排尿困難、かすみ目、性機能低下、足腰の弱りに用います。胃腸の弱い人、下痢しやすい人には不適で、特に妊婦の方は避けてください。
 
 

牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)第2類医薬品

八味地黄丸と同じ、手足の冷えや下肢のしびれ感、浮腫、関節痛、腰痛などの痛みがより強い場合に使用します。八味地黄丸にゴシャ、シャゼンシを加えて、下半身の筋肉を強めて、利尿を促します。こちらも妊婦の方は避けてください。
 
 

六味丸(ろくみがん)第2類医薬品

八味地黄丸や牛車腎気丸で、のぼせる人や八味地黄丸から体を温めるケイシとブシを除いた処方です。冷えのない人に適しています。排尿障害、前立腺肥大に用います。こちらも妊婦の方は避けてください。
 
 

清心蓮子飲(せいしんれんしいん)第2類医薬品

神経質で胃腸やストレスに弱く、冷えが強い場合の尿路不定愁訴(残尿感、頻尿、排尿痛)に適しています。糖尿病がある場合や八味地黄丸で胃腸障害が出る方、女性の腹圧性尿失禁など、炎症を認めない場合に適しています。
 
 

腎仙散(じんせんさん)(第2類医薬品)

「腎仙散」には15種類の生薬エキスが配合されていますが、その中でもタクシャ、チョレイ、ブクリョウ、ソウジュツ、ケイヒは強い利尿効果を持つといわれる漢方「五苓散(ごれいさん)」の処方生薬です。
五苓散は、余計な水分が体内にたまって起こるさまざまな症状を改善させる効能を持ち、下痢や口の渇き、ムクミといった症状にも効果があります。五苓散に加えて、抗菌作用を持つウワウルシなどを配合することで、膀胱炎への対処能力を強めたお薬が「腎仙散」といえるでしょう。以前は膀胱炎に効果のある抗菌薬が薬局で販売されていたのですが、現在は、効果のある一般用医薬品は生薬エキス製剤だけになりました。
参考 http://www.mayado.jp/lp/jinsensan/ (外部サイト・製品ページ)
 
 

即効性を求める場合は病院へ

 
市販薬は、病院で処方してもらえる薬に比べて即効性が無く、効果がでるまで時間がかかります。
市販薬に即効性がない理由は、膀胱炎の市販薬には、処方薬のような抗菌効果を持つ抗生物質と違って、利尿作用を持つ漢方成分しか含まれないためです。症状が進行している場合や、とにかくすぐに治したいという方は、医療機関を受診するべきでしょう。
 
 

まとめ

 
膀胱炎に伴う排尿障害の市販薬による漢方治療は以下のようにまとめられます。

手足の冷感なし

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
急性炎症の残尿感、排尿痛、尿の濁り
 
・五淋散(ごりんさん)
慢性の尿路炎症、残尿感、頻尿、排尿痛
 
 

手足の冷感あり

・猪苓湯(ちょれいとう)
残尿感、排尿痛、尿道炎、腎臓炎
 
 
<執筆者プロフィール>
佐藤 孝弘(さとう・たかひろ)
ヘルスケア関連企業にて10年以上、研究開発業務に従事中。また医学・薬学・健康・美容に関するライティングでも活動。TOEIC 910点
 
 

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兵庫県保険医協会が提供する、繰り返す膀胱炎への対処法について説明した以下の動画についても併せてご覧ください。

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